実務翻訳という仕事
日本で現在様々な形で翻訳の仕事に従事している人達は、その殆どが翻訳会社に登録しています。
翻訳会社に登録しておいて、翻訳の仕事が有れば翻訳会社から翻訳の仕事を回してもらう、というのが一般的なパターンです。
とは言え、翻訳会社に登録しても、途切れずに仕事が入ってくるとは限らないというのが、翻訳の世界の現実なのです。
例えばある大手の翻訳会社の場合、現在400から500人という数の翻訳者が登録しているそうですが、その翻訳会社の担当者に聞いてみると、「コンスタントに仕事を頼むのは、そのうちの1割くらい」だと言います。
この翻訳会社に限らず、他の翻訳会社でも、大なり小なりどこも同じような傾向なのだそうです。
それではどうしてこのような現状になっているのでしょうか。
その理由としては、まず翻訳者の得意分野と、翻訳会社に持ち込まれる翻訳仕事の内容とが、うまくマッチしないといったことも考えられます。
それからもともとプロとして通用する実務翻訳者は全国でも非常に少なく、恐らく100人にも満たないであろう、というのが多くの関係者の率直な見解です。
力のある翻訳者は翻訳会社やクライアントの間で取り合いになるほどで、言わば「できる翻訳者」の元に多くの翻訳仕事が集中するのもまた翻訳業界の現実でもあるのです。
それでは実務翻訳で求められるのは、一体どのような要素なのでしょうか。
実務翻訳で求められるもの
実務翻訳で求められるのは、まずは翻訳のクライアントが希望する用語とスタイルを忠実に用い、勿論正確に、そして限りなく完成度の高い訳稿を、これまた指定された期限内で確実に仕上げることです。
実務翻訳の場合、クライアントのビジネスの現場と直結していることが多いため、翻訳作業に当たって守秘義務と納期の厳守は鉄則です。
従って翻訳にはスピードも要求されることになります。
ちなみに翻訳のスピードの面で言えば、和訳なら1日10枚、英訳なら1日5枚程度はこなせないと、翻訳の仕事としては成り立たないと言われています。
如何でしょうか。
かなりの量だとは思いませんか。
逆に言えば普段実務翻訳の第一線で活躍している人が如何にすごいかがよくお分かりかと思います。
それでは実務翻訳に必要なのは、一体どのような要素なのでしょうか。
翻訳という仕事上勿論日本語力と外国語力が必要です。
このように抜きんでた日本語力と外国語力に加えて、しっかりした専門分野の知識も、実務翻訳者の前提条件となります。
専門分野と言ってもいろいろ有ります。
特に科学技術、医療、法律、特許等、特に専門性が高いとされる分野では、たとえ日本人が日本語で読んだとしたも、その専門分野の門外漢にはとても理解できそうにもない文書がたくさん出てきます。
場合によっては翻訳のクライアントが、業界用語集や辞書等を提供してくれたりすることもありますが、翻訳者自身に相応の専門に関する基礎知識がないと歯が立たないという翻訳仕事も少なく有りません。